
穏やかな水田を歩いていると、まぶしいほどの青さの空が、音もなく静寂な水面に映し出された。 その境界線が消え失せ、水と空が混ざり合ったかのような不思議な風景が目の前に広がる。そよ風が水面をかすめるたび、細やかな波紋が光を反射してキラキラと輝く。 その揺れる水の上に、大空は動じることなく沈思黙考のように佇んでいる。
頬をなでる風と稲のささやきが、ここにしか訪れないであろう時間の静止を物語っている。 鳥のさえずりや虫の音が自然の名曲を奏で、日頃の騒音を一掃してくれる。ゆったりとした時の流れの中で、人生のシンプルな喜びに出会えた、忘れられない一瞬が訪れる。
水と空の境界線を見つめていると、自分の内面に新たな世界が開かれたような感覚が生まれる。これまで意識したことのない思いが浮かび上がり、未知の景色が目の前に広がっていく。 大自然の営みに身を委ねることで、生きる原動力が体の奥底から沸き起こってくるのを実感する。
ここで得た時の静寂の記憶は、生涯の宝となるに違いない。日常の喧騒の中で忘れがちな、生きることの原点を想い起こさせてくれた。これからの人生を強く生き抜く力を、この景色から授かった気がする。 光り輝く水の面に映った空を見上げながら、希望を抱いて新たな一歩を踏み出したい。
